アフリカ国別情勢
チュニジア モロッコ アルジェリア 西サハラ リビア エジプト モーリタニア カーポベルデ マリ ニジェール セネガル チャド スーダン エリトリア ガンビア ブルキナファソ ジブチ ギニアビサウ ギニア ナイジェリア シオラレオネ ベナン エチオピア リベリア ガーナ 中央アフリカ コートジボワール トーゴ カメルーン ソマリア ウガンダ 赤道ギニア コンゴ ケニア ガボン コンゴ民主 ルワンダ ブルンジ タンザニア アンゴラ マラウイ コモロ ザンビア モザンビーク ジンバブエ ナミビア マダガスカル ボツワナ スワジランド レソト 南アフリカ |
コンゴ民主共和国 (DR Congo)
民族紛争 1996〜2003年、部族間闘争に始まり、この地方の豊かな鉱物資源の利権も絡んで、コンゴ政治家や周辺諸国を巻き込む大紛争に発展した。長引く紛争で400万人が殺され、350万人が難民化した。鉱物資源に絡む欧米の企業が武器の資金を援助していたと言われている。
ダイヤモンドが豊富なオリエンタル州や東部ではその後も人権侵害が続き、2008年1月に和平協定が結ばれたが、調印を拒んだルワンダのフツ族反乱軍による虐殺やレイプが今も頻発している。これまでに100万人以上が難民化し、不衛生な環境で、マラリアやコレラも蔓延しており、飢餓や病死を含めると紛争以来の死者は540万にのぼる。
組織的なレイプ・虐待 紛争中、女性たちが兵士に連れ出され、組織的なレイプ、集団レイプ、近親相姦の強要、HIV/エイズの感染、そして死にいたるレイプ、虐待が繰り返された。8歳から老女まで年齢を問わずレイプされた。その結果、多くの女性が激痛を伴う瘻孔の病気に苦しんでいる。
紛争が終結した今も尚、女性や子供へのレイプ、虐待が日常的に起きている。こうした女性たちがまず望んでいるのは心のケアのためのカウンセリングだという。
再建 内戦の始めより、実に40%近くの子供たちが学校から消えてしまった。兵士に駆り出されたもの、親を失い路上に取り残されたもの、この数年で孤児の数は激増している。
再建には教会が重要な役割を果たしているが、女性たちいわく、教会でさえ男性たちに有利に支配されているという。
<更新:2008年4月>
参照1) ウィキペディア (コンゴ民主)
参照2) Wikipedia (DRC)
参照3) CIA -the World Factbook (DRC)
参照4) afrol News - Congo Kinshasa archive
参照5) AllAfrica - DRC
参照6) Reliefe Web - DRC
ブルンジ (Burundi)
民族紛争 1972年のジェノサイド(大量虐殺)以来、少数民族ツチ族と多数民族フツ族の民族間闘争が長く続いた。2000年、2006年の和平合意以来、紛争は収まっているものの、まだ予断は許されない。北部と西部で10万人が避難生活を送っている。コンゴからも2万人が避難している。
紛争で女性の地位は悪化し、多くのレイプ被害者や奴隷を生み出した。タンザニア難民キャンプでは、ブルンジの女性たちがレイプや暴力、誘拐の被害に遭い、奴隷化されている。
国民の4割は読み書きができず、7割近くが貧困ライン以下の生活を強いられている。
洪水と飢餓 2006年末から2007年2月の洪水で約200万人が被害を受け、家や畑を失い、食糧危機に瀕している。
<更新:2008年4月>
参照1) ウィキペディア (ブルンジ)
参照2) Wikipedia (Burundi)
参照3) CIA -the World Factbook (Burundi)
参照4) UNICEF - Info by Country (Burundi)
参照5) AllAfrica - Burundi
参照6) Afrol News - Gender-Women archive
ルワンダ (Rwanda)
民族紛争 1994年春、国民の9割を占めるフツ族の軍部が、少数民族のツチ族とフツ族穏健派の大量虐殺を行い、100日間で約80万人が殺されるというジェノサイドが起きた。これにより約2万人が隣国コンゴへ逃亡し、後のコンゴ紛争に発展した。
ジェノサイドの国際裁判を免れるために、ルワンダ軍の残党が今もコンゴ東部に残り、コンゴ人を脅かしている。彼らを含め、まだ5万7千人のルワンダ人が隣接諸国で避難生活をしている。
現在ルワンダ国内は再建に向かって比較的安定しているが、隣接諸国が不安定なため、まだ予断は許されない。
4400人の国内非難民と4万人のコンゴ難民が避難生活を送っている。国民の約6割は貧困ライン以下で生活している。
人身売買 2007年6月、反児童売買法が立案される。
<更新:2008年4月>
参照1) ウィキペディア (ルワンダ)
参照2) Wikipedia (Rwanda)
参照3) CIA -the World Factbook (Rwanda)
参照4) AllAfrica - Rwanda
中央アフリカ (Central African Republic)
紛争と難民 度重なるクーデターや紛争で、2005年に新政権樹立後も、資金不足から治安は依然劣悪な状態にある。特に地方は無政府状態となっており、市民の人権が脅かされている。
北西部では約21万人がチャドに脱出し、12箇所の難民キャンプで生活しているが、そのほとんどは女性と子供である。 現在スーダンから2万人、コンゴから3千人、国内でも15万人が避難生活を送っている。
女性の人権 FGM(女性器切除)は法律で禁止されたが、未だ45〜50%の女性に施術が行われている。 DVを含め、女性への暴力が起きているが、女性の地位の低さのため、事件が報告されることはない。
児童売買 中央アフリカは子供奴隷売買の温床である。国内奴隷として、または性的搾取や強制労働のために、主に国内で売買されるが、一部はナイジェリアやカメルーンにも売られ、またその逆もある
貧困 国民の2/3は1日1ドル以下の生活を余儀なくされている。
教育 国民の50%は読み書きができない。小学校に入学するのは男児で64%、女児は45%である。
エイズ、衛生 成人の13.5%(約26万人)はHIV/エイズに感染している。乳児の8割以上が生後1年以内に死亡している。国民の6割は飲料水にアクセスできず、国民の9割近くが医療サービスを受けられない。
<更新:2008年4月>
参照1) ウィキペディア (中央アフリカ)
参照2) CIA -the World Factbook (Central African Republic)
参照3) UNICEF - Info by Country (Central African Republic)
参照4) 日本UNHCR (Central African Republic)
参照5) AFROL Gender Profile - Central African Republic
参照6) AllAfrica.com - Central African Republic
チャド (Chad)
貧困と汚職 チャドは人間開発指数が世界最下位で、国民の8割は貧困ライン以下の生活を余儀なくされている。また世界腐敗認識指数は最下位レベルで、汚職がはびこっている。反政府軍による攻撃が続いており、情勢は極めて不安定。スーダンから23万人、中央アフリカから4万人、また国内でも10万人が避難生活を送っている。
女性の人権 女性の識字率は39%で、仕事を得ることも難しい。女性の4割は一夫多妻制の家族構成で暮らしており、法律で禁止されているにもかかわらず、DVが日常的に起こっている。少女たちは金銭と引き換えに11、12歳で強制結婚させらている。結婚後も家事と主に農業などの重労働が待っている。
FGMは禁止されていおり、地元のNGOが啓蒙活動を行っているにもかかわらず、実際は広範囲で行われている。特に東部と西部の民族に多い。60%の女性が経験している。
憲法では性の平等がうたわれているものの、実効力はない。それぞれのコミュニティで女性差別が根強く残っているため、こうした問題はなかなか改善されない。
<更新:2008年4月>
参照1) ウィキペディア (チャド)
参照2) Wikipedia (Chad)
参照3) UNICEF - Info by Country (Chad)
参照4) CIA -the World Factbook (Chad)
参照5) AFROL Gender Profile - Chad
アンゴラ (Angola)
内戦と復興 27年間に渡る紛争で、豊富な資源は全て紛争に使われ、400万人が難民化した。紛争が終結した今も、まだ6万人が避難生活を送っている。コンゴからも1万3千人が避難生活を送っている。国民の7割は貧困ライン以下の生活を余儀なくされている。br>長期内戦でインフラは破壊されたが、石油産出国であるため、中国の銀行がインフラ整備に20億ドル枠の融資を決定するなど、石油の輸出で経済は急速成長を遂げている。
ストリートチルドレン 1998年のユニセフ・レポートでは、首都ルアンダのストリートチルドレンは5千人といわれた。孤児や捨て子のほか、家族や施設から逃げ出した子も多い。施設の環境がひどいため、子供たちはストリートで眠る方を好むという。同じくルアンダでは、未成年で売春をする少女も500〜1000人いると言われている。
地雷 女性たちは食べ物や薪を探して歩き回るので、地雷の被害者となりやすい。
女性の人権 女性への暴力は横行しており、夫が妻を殺害する事件も多い。地方では、反政府組織UNITAによって女性たちがポーターにさせられ、隷属的な生活を強いられており、性的虐待も報告されている。UNITAは子供たちも誘拐し、強制労働させている。
憲法では性の平等がうたわれているものの、実際は女性はあらゆる面で差別を受けている。また民法には、遺産相続、資産売却、商業の分野で女性差別が残っている。
麻薬中継地 アンゴラは西欧や南アフリカへ密売されるコカインの中継地となっている。
<更新:2008年4月>
参照1) ウィキペディア (アンゴラ)
参照2) Wikipedia (Angola)
参照3) UNICEF - Info by Country (Angola)
参照4) CIA -the World Factbook (Angola)
参照5) AFROL Gender Profile - Angola
ウガンダ (Uganda)
北部紛争 北部で勃発した政府軍と反政府武装組織 LRAによる20年間の紛争で、3万8千人の子供たちと3万7千人の大人が誘拐された。LRAは紛争中に誘拐した子供や女性たちを未だ解放していない。
難民 スーダンから21万人、コンゴから2万7千人、ルワンダから2万人、国内でも120〜170万人が避難生活を送っている。
人身売買 3千人の子供がLRAにより強制的に兵士や性の奴隷にされていた。LRAはスーダンの武器商人に、特に少女たちを代替品または贈り物として渡していたとも伝えられている。
女性の人権 紛争中、多くの女性が誘拐、レイプされていた。武器のトレードの代替品、または贈り物として少女たちをスーダンに渡していたとも言われている。
妻を含む女性への暴力、レイプは常に起きている。児童虐待、幼い少女へのレイプも社会問題となっている。 女性の強制早婚は、特に田舎の地方で一般的である。
東部のサビニー族の間ではFGMも行われている。
教育は男子が優先され、女性の識字率は6割にとどまっている。法律は全般的に女性を差別している。
2007年4月、女性弁護士団の請願により、女性の姦通罪が廃止され、姦通における性差別が撤廃された。
<更新:2008年4月>
参照1) ウィキペディア (ウガンダ)
参照2) Wikipedia (Uganda)
参照3) CIA -the World Factbook (Uganda)
参照4) AFROL Gender Profile - Uganda
参照5) AllAfrica.com - Uganda
ケニア (Kenya)
暴動 2007年末、キバキ大統領の再選に対し、野党が不正集計などを訴えて抗議運動を起こし、首都ナイロビをはじめ各地で暴動に発展した。連立政権の樹立で暴動は静まったが、千人以上の死者を出し、20万人が難民化した。
ストリート・チルドレン 首都ナイロビのストリート・チルドレンの数は5万人以上といわれ、毎年増え続けている。ヒューマン・ライツ・ウォッチの1997年のレポートによると、こうした子供たちが警察に暴力や性的虐待を加えられているという。
女性の人権 アフリカで最も政情が安定し、女性の人権問題への取り組みも進んでいるが、実際伝統的な女性差別や貧困から抜け出すことは難しい。 難民女性へのレイプ、子供への性的虐待、レイプが増大している。田舎では学校教師が生徒をレイプするケースもある。レイプは最高終身刑であるが、実際は10年以内にとどまっている。妻への暴力は日常的に起きているが、伝統的社会の中で容赦されている。
財産権や遺産に関する法律は女性に不利なままである。田舎の家庭では女性の教育に後ろ向きである。
FGMは特定の民族の間で広範囲に行われており、地方では50%の女性が経験している。政府系病院ではFGMの施術を禁じているが、違法ではない。しかし1996年から、肉体を傷つけない”言葉による割礼(Circumcision Through Words)”という儀式を、FGMの代替として選択する家族が増加してきている。
児童売春とエイズ ユニセフによると、若い女性の30%が風俗業に就いている。うち45%は12、3歳から売春を始める。特に観光客の多いモンバサなどの海岸沿いで急増しているが、顧客で最も多いのはケニア人である。家族に捨てられた女性や、中には親に売春を強要される少女もいる。女性が仕事を得るのは難しく、生きていくために他に選択肢がない。ケニアには180万人のHIV/エイズ孤児がいるとみられ、貧困からその子供たちもまた売春に陥るケースが多いという。
人身売買 子供や女性たちが風俗業や肉体労働のために、中東、西欧、北米、またはケニア国内や他のアフリカ諸国へ売買されている。性的搾取のために売られる中国女性や、強制労働のために売られるバングラデシュ女性もケニアを通過する。
水へのアクセス 国民の47%は飲料水へのアクセスがない。
難民 ダダーブとカクマで、ソマリアから15万人、スーダンから7万6千人、エチオピアから1万4千が避難生活を送っている。国内でも1990年代のケニア・アフリカ民族同盟の野党への攻撃で43万人が難民化し、現在も避難生活を送っている。2007年末の暴動でも20万人が難民化した。
<更新:2008年4月>
参照1) ウィキペディア (ケニア)
参照2) Wikipedia (Kenya)
参照3) CIA -the World Factbook (Kenya)
参照4) AFROL Gender Profile - Kenya
参照5) AllAfrica.com - Kenya
タンザニア (Tanzania)
女性の人権 FGMは法律で禁止されているが、一部の民族の間でまだ公然と行われている。キャンペーンが功を奏して、キリマンジャロ地域の施術者たちが廃止を宣言し、2005年の調査で以前の18%から15%まで減少したことがわかった。7)
難民 ブルンジ難民が40万人、コンゴ民主からの難民は15万人(2006年)。
<更新:2008年4月>
参照1) ウィキペディア (タンザニア)
参照2) Wikipedia (Tanzania)
参照3) CIA -the World Factbook (Tanzania)
参照4) AFROL Gender Profile - Tanzania
参照5) Afrol News - Tanzania fails to enforce law against female genital mutilation
参照6) AllAfrica.com - Tanzania
参照7) IRIN Africa/East Africa/Tanzania - TANZANIA FGM on the decline
ザンビア (Zambia)
独立以来、政情は比較的安定しており、教育も初等教育までは政府が授業料を負担しているため、識字率は高い。しかし教育資材が各家庭負担なため、学校を続けられない孤児が多い。HIV/エイズ感染者は約90万人とみられ、エイズ孤児が増えている。国民の半数が失業しており、国民の86%は貧困ライン以下の生活を余儀なくされている。
コンゴ民主から6万人、アンゴラから7万5千人、ルワンダから6千人、避難生活を送っている。
<更新:2008年4月>
参照1) ウィキペディア (ザンビア)
参照2) CIA -the World Factbook (Zambia)
スーダン (Sudan)
紛争、難民 1983年勃発したスーダン内戦で、4百万人が難民化した。2004年和平協定が締結されるも、2003年からダルフールでもう一つの民族衝突が再開し、さらに2百万人の難民を生み出した。隣接国が50万人のスーダン難民を受け入れる代わりに、スーダンは10万人のエリトリア難民、2万人のチャド難民、1万4千人のエチオピア難民、8千人のウガンダ難民、5千人の中央アフリカ難民を受け入れた(2006年)。
人道危機 スーダン政府に支援されたジャンジャウィード軍は、組織的に女性や少女をがレイプし、手足を切断し、村や畑を焼き払い、井戸に毒を入れていた。
世界的な食糧と燃料価格の高騰は、難民キャンプでの人道支援も困難にしている。食料も援助物資も不足しており、輸送価格の高騰で、支援を断念するところもでてきている。
女性の人権 女性への暴力、売春が増大している。政府や政府系組織が、女性たちをメイドとして売買しているとも報告されている。新憲法では性差別が禁止されたが、実施にはいたっていない。女性の識字率は51%。
FGMは特に北部で盛んで、90%の女性に行われており、外性器の切除と陰部封鎖(infibulation)という最も危険なタイプである。FGMを禁止する法律はない。 国連の支援を受けて2つの現地NGOがFGM廃止活動をしており、都市部において若干、施術を廃止したり、最も簡素なタイプに移行したりなどの効果がみられる。
人身売買 スーダンの女性、子供、男性とも、強制労働や性的搾取の目的で売買されている。またエチオピア女性がスーダンへ、またはスーダンを経由して売られている。少年は中東、特にカタールやアラブ首長国連邦にラクダ騎手として売られている。少女たちは国内でメイドや売春婦として売られている。スーダン国内でも、若干の少女が売春婦として、難民キャンプへ売られている。
政府軍によって捕らえられた女性や子供たちが、スーダン中央、北部に連行され、リビア人に買われているという報告がある。 ウガンダ反政府軍LRAは、スーダン南部の子供たちを誘拐し、コックやポーター、兵士に仕立て上げている。またLRAは、武器の代金としてスーダンの武器商人に少女を渡していたとも報告されている。 ダルフール紛争でもスーダン政府軍や反乱軍は子供たちを利用している。
この数十年の内戦で、数千人もの黒人民族ディンカの女性や子供たちが、アラブ系バッガーラ族の奴隷にされ、強制労働を強いられ、性的虐待を受けてきた。2005年停戦後はバッガーラ族によるディンカ人の誘拐は報告されていないが、他の民族間での誘拐が南部で引き続き起きている。
<更新:2008年4月>
参照1) ウィキペディア (スーダン)
参照2) CIA -the World Factbook (Sudan)
参照3) AFROL Gender Profile - Sudan
参照4) AllAfrica.com - Sudan
参照5) Relief Web - Sudan
エリトリア (Eritrea)
エチオピアとの国境紛争では4万〜4万5千人が難民化した。武力衝突は今も発生しており、極めて不安定な情勢が続いている。
独立運動にあたり、女性たちも解放戦争に参加し、活躍してきたため、多くの女性が要職についている。政府も女性を重用し、女性保護にも尽力してきたため、女性への暴力なども報告されていない。
FGMは95%の女性が経験しており、ほぼ全域で行われているが、2007年6月、違法となった。欧米に逃亡し、高い教育を受けて帰ってきた人々が支配層になり、FGM廃止を啓蒙している。
<更新:2008年4月>
参照1) ウィキペディア (エリトリア)
参照2) CIA -the World Factbook (Eritrea)
参照3) AFROL Gender Profile - Eritrea
ジブチ (Djibouti)
失業率は59%で、国民の42%は貧困ライン以下の生活を余儀なくされている。資源を持たず、限られた雨量で農業も難しいため、多くは首都に住み、自由貿易港としてのサービス業に従事している。ソマリアから1万人が避難生活を送っている。
女性の人権 少女の強制結婚、FGM(女性器切除)、女性差別の撤廃に取り組んでいる。FGMは1995年法律で禁止されたが、90%以上の少女が実際に犠牲になっている。まだ女性の4割以上は読み書きができず、慣習が現実に廃止されるのは難しい。
人身売買 エチオピアやソマリアから性的搾取のために女性が売買されている。またこれらの国からの移民も、ジブチ市内や国境付近で売買のターゲットになりやすい。またジブチは人身売買の中継地でもあり、アラブ諸国やソマリアに性的搾取や強制労働の目的で、女性や子供たちが売られている。
<更新:2008年4月>
参照1) ウィキペディア (ジブチ)
参照2) CIA -the World Factbook (Djibouti)
参照3) Wikipedia (Djibouti)
参照3) afrol News - Djiboutian Minister teaches West women's liberation
エチオピア (Ethiopia)
干ばつ 雇用の8割を農業に依存しているが、頻繁に干ばつの被害を受けている。
難民 スーダンから7万3千人、ソマリアから1万6千人、エリトリアから1万人、ティグレ州とガンベラ州に国難避難民が10万人から28万人避難生活を送っている。
女性の人権 FGMを禁止する法律はなく、74%の女性が施術を受けている。その他、少女の強制結婚、誘拐結婚、口蓋垂切などの伝統的慣習が行われている。
児童買春が都市を中心に増加しており、少女達が出産した子供は警察や病院、保護施設、 養子斡旋所に捨てられる。妻への暴力が社会問題となっているが、多くの女性はこうした暴力が法律で罰せられることすら知らない。 読み書きできる女性はわずか35%である。
人身売買、児童労働 子供たちが強制労働や性的搾取の目的で中東諸国に売られている。行く先はレバノンが最も多い。 児童労働は広範囲でみられ、召使いとして働く子供たちは虐待やレイプも受けていることが多い。
<更新:2008年4月>
参照1) ウィキペディア (エチオピア)
参照2) CIA -the World Factbook (Ethiopia)
参照3) AFROL Gender Profile - Ethiopia
ソマリア (Somalia)
紛争と難民 1991年内戦勃発以来、武力衝突と無政府状態が続いており、経済は崩壊している。
2007年1月、連邦政府軍(TFG)はエチオピア軍の支援を受けて、中央/南部を制覇していたイスラム法廷連合(ICU)を破った。以来TFGと反政府軍との戦いが激化し、人道支援を困難にしている。
支援を必要とする人々は、国内避難民40万人を含め、2006年8月の180万人から2007年2月の時点で100万人に減少したが、干ばつと洪水がさらなる難民を生み出し、中央/南部は依然食糧危機にある。難民の多くは女性、子供、高齢者である。
女性の人権 女性差別と児童虐待が社会問題になっている。1997年の憲法で性や出身国による差別を禁止する条項が含まれたが、この国には司法制度がなく、依然女性に不利な伝統的慣習に支配されている。
暴力の他、誘拐、レイプも報告されている。特にQoroley地区南部で、兵士によるレイプが日常的に起きていたと報告されている。
FGMは全域で98%の女性に行われており、外性器の切除と陰部封鎖(infibulation)という最も危険なタイプである。1991年違法となったが、長い無政府状態から法は適用されていなかった。近年、北東部のプントランドで組織された女性の人権団体WAWA(We Are Women Activists)は、FGMの危険性を訴え、撤廃に向けたキャンペーンを開始した。都市部では成果を上げている。
教育 中央政府の崩壊から小学校は現在私営で、内戦前の600校から現在は1172校に増加した。就学率は28%を維持している。識字人口は男性50%、女性26%。
水と衛生 国民の7割は飲料水へのアクセスがない。
ソマリア中央では、現地組織GSAがノルウェーのNGO、YME、NORSOMの協力のもと、井戸の管理、修復を行っている。
<更新:2008年4月>
参照1) ウィキペディア (ソマリア)
参照2) CIA -the World Factbook (Somalia)
参照3) UNICEF - Info by Country (Somalia)
参照4) AFROL Gender Profile - Somalia
参照5) AllAfrica.com - Somalia
参照6) Relief Web - Somalia
モーリタニア (Mauritania)
以前は多数派アラブ系ムーア人による少数黒人民族の奴隷化が存在していたが、2003年、人身売買は法律で禁止された。両民族間の緊張は今も続いている。
憲法では性の平等が示され、若干の女性が政府の要職に就いている。少女の強制結婚はムーア人社会では稀になってきている。レイプや家庭内暴力も少ないと言われている。
人身売買 強制労働、物乞い、使用人として、人身売買が行われている。
少女虐待 肥満体が女性美とされるこの国では、嫁入り前になると10代の少女にガヴァージュ(gavage)という強制肥満化が行われている。指を潰すなどの体罰を伴って何年にも渡って続けられ、時には死をもたらすこともある。以前は60〜70%の女性に行われていたとされるが、地元NGOのキャンペーンなどで減りつつあり、最近では25%以下と報告されている。
女性の25%がFGMを経験しているが、政府も反対しており、地元NGOも女性たちの教育に尽力している。
<更新:2008年4月>
参照1) ウィキペディア (モーリタニア)
参照2) CIA -the World Factbook (Mauritania)
参照3) AFROL Gender Profile - Mauritania
セネガル (Senegal)
高い失業率 アフリカでは最も安定した民主主義の国の一つであるが、国民の54%は貧困ライン以下の生活を余儀なくされており、2万2千人が非難生活を送っている。失業率は48%と高く、仕事を求めてヨーロッパへの違法入国を促している。
現在モーリタニアから2万4千人が避難生活を送っているが、2008年3月、UNHCRの支援で徐々に本国帰還を開始した。
女性の人権 法律では男女平等がうたわれているが、特に地方では女性差別が根強く、強制結婚が行われたり、教育の機会も少ない。読み書きできる人口は男性が51%に対し、女性は29%である。一方都市部においては政治、法律、ビジネスの分野で女性の活躍がみられ、弁護士の14%が女性である。3)
トゥクロール族、マンディンゴ族、フラニ族の間で、セネガルの20%の女性がFGMを受けていたが、2001年、地元のリーダーによるコミュニティ単位のキャンペーンが功を奏し、101村がFGMの廃止を宣言した。しかし廃止宣言に参加した女性が、同時に影でFGMを行うなど、今もFGMは根強く残っている。UNICEFやUNFPA、また< href="http://www.tostan.org/" target="_blank">TostanなどのNGOが、女性たちの教育やキャンペーンを支援している。
妻への暴力は日常茶飯事と報告されているが、多くの女性は警察へ行こうとしない。
<更新:2008年4月>
参照1) ウィキペディア (セネガル)
参照2) CIA -the World Factbook (Senegal)
参照3) AFROL Gender Profile - Senegal
参照4) AllAfrica.com - Senegal
参照5) Relief Web - Senegal
ガンビア (Gambia)
資源のないアフリカ最小の農業依存国で、国民の7割が貧困ライン以下の生活を送っている。国民の6割は読み書きができない。シオラレオネから6千人が避難生活を送っている。
女性の人権、FGM 女性の教育が遅れており、少女の強制結婚が慣習的に行われている。貧困ゆえ売春婦に転じる女性も多い。
FGM(女性器切除)は75%の女性が受けている。地元のNGO、GAMCOTRAPは、メディアに働きかけるなど、FGMの廃止を呼びかけている。
<更新:2008年4月>
参照1) ウィキペディア (ガンビア)
参照2) Wikipedia (Gambia)
参照3) CIA -the World Factbook (Gambia)
参照4) UNICEF - Info by Country (Gambia)
ギニアビサウ (Guinea-Bissau)
農業の生産性は低く、識字率も低いゆえ、経済発展の基盤がない。世界最貧国の一つである。セネガルとの国境付近で武力衝突が発生しており、セネガルから7千が避難生活を送っている。汚職が氾濫し、中南米からヨーロッパへの重要なコカイン・ルートになっている。
女性の人権 50%の女性がFGMを受けている。1990年代からFGMに対する議論が始まったが、法律で禁止するには至っていない。それでも都市部ではすでに野蛮な慣習という認識が高まり、かなり減少している。地元のNGOや国際団体が協力して、廃止に向けて活動している。
夫が妻を殴ることは認められている。
<更新:2008年4月>
参照1) ウィキペディア (ギニアビサウ)
参照2) CIA -the World Factbook (Central African Republic)
参照3) AFROL Gender Profile - Guinea Bissau
参照4) afrol News - Alternatives to female genital mutilation in Guinea-Bissau
ギニア (Guinea)
隣接国からの侵略で1万9千人が避難生活をしている他、リベリアから5万4千人、シエラレオネから5千人、コートジボワールからも4千人が避難生活を送っている。国民の47%が貧困ライン以下の生活を余儀なくされている。
女性の人権 読み書きできる女性はわずか18%である。
FGMは1989年法律で禁止されたが、逮捕者は出ておらず、60〜90%の女性が経験している。地元NGOの啓蒙活動が効果を見せており、都会ではFGM反対派が増えている。
シエラレオネ、リベリアの国境付近では両国武装集団の襲撃が発生しており、女性たちがレイプされている。
<更新:2008年4月>
参照1) ウィキペディア (ギニア)
参照2) CIA -the World Factbook (Guinea)
参照3) Wikipedia (Guinea)
参照4) AFROL Gender Profile - Guinea
シエラレオネ (Sierra Leone)
内戦の傷跡 1991年、政府の汚職とダイヤモンドなどの鉱物資源をめぐって内戦が勃発。2002年、10年に渡った紛争は終結したが、人口の3分の1が土地を追われ、数千人もの人々が手足を失った。治安は崩壊し、武器や麻薬の密売、犯罪が横行している。識字人口は35%、平均寿命は40歳。リベリアから6万人が避難生活を送っている。
貧困から復興へ 国民の7割が貧困ライン以下の生活を余儀なくされており、賃金格差が激しい極めて貧しい国であるが、豊富な天然資源の輸出で、経済は回復に向かっている。
2007年6月、国際農業開発基金(IFAD)はシエラレオネの農村地区の若者、特に元兵士や、性的搾取の犠牲となった女性、シングルマザーを対象に、マイクロローンの形で1千億ドルの支援を決定。
女性の人権、FGM 憲法では性差別が禁止されているが、実際は女性は教育、医療サービス、就職、その他社会面でも差別されている。読み書きできる女性はわずか24%しかいない。生きるための売春婦もかなり多い。女性が差別を受ける度合いは各民族の慣習で違ってくる。それでも少数の教育を受けた女性たちは社会活動に熱心で、政府に働きかけている。与党であるシオラレオネ人民党(SLPP)も女性の地位向上を目指している。
FGMはほぼ全域で行われており、90%の女性が施術を受けているといわれている。多くのNGOが啓蒙活動を行っているが、FGMへの根強い信仰があり、難航している。法律でも禁止されていない。
紛争中、女性や子供たちが兵士に誘拐され、レイプされていた。男の子は兵士にされた。10万人の女性がギニアに逃げたが、そこでも彼女たちはレイプされていた。家庭では妻が夫に殴られるのは日常的だが、警察は介入しようとしない。
環境破壊 急激な人口増加で、樹木伐採による森林破壊、放牧地の拡大と焼き畑農業による土壌浸食、過剰漁業など、環境破壊が懸念されている。
<更新:2008年4月>
参照1) ウィキペディア (シエラレオネ)
参照2) Wikipedia (Sierra Leone)
参照3) CIA -the World Factbook (Sierra Leone)
参照4) AFROL Gender Profile - Sierra Leone
参照5) UNICEF - Info by Country (Sierra Leone)
参照6) AllAfrica.com - Sierra Leone
リベリア (Liberia)
15年の内戦で疲弊し、経済は崩壊した。隣接国へ難民が流出し、国民の80%が貧困ライン以下の生活を余儀なくされている。国内にもまだ1万3千人が避難生活を送っており、コートジボワールからも6千人が避難生活を送っている。政情は極めて不安定で、武力衝突は今も頻発しており、国連軍が全国的に駐在している。
女性の人権 内戦中、多くの女性たちがレイプされた。女性への暴力は今も蔓延している。
FGMは50%の女性に行われており、特に北部、西部、中央部の民族の間に多い。紛争で、村々は破壊され、人々は隣接国で難民化したため、コミュニティの崩壊とともに、FGMも一時10%まで減少したと言われた。しかしコミュニティが再建に向かうとともに、FGM施術も増加している。政府はFGMを禁止していない。
<更新:2008年4月>
参照1) ウィキペディア (リベリア)
参照2) CIA -the World Factbook (Liberia)
参照3) AFROL Gender Profile - Liberia
コートジボワール (Cote d'Ivoire)
2002年のクーデターで75万人が難民化し、西部で避難生活を送っている。政情は不安定で経済を圧迫している。近隣諸国の国境付近にはまだ反乱軍が潜んでいる。リベリアからも4万人避難生活を送っている。
人身売買 児童売買は増加している。首都アビジャンではストリート・チルドレンが最も多く、地元の人権団体AIDF(Ivorian Association for the Defense of Women)によると、子供たちは雇われており、性的搾取や虐待の犠牲になっているという。
女性の人権 法的には性差別は禁じられているが、女性は就職、経済活動において依然不利である。特に地方では男子の教育が優先される。
女性の低い就学率を改善するために、政府は教師によるレイプに関する処置を新設した。女子の小中学校中退率66%のうち、3分の1は妊娠によるもので、パートナーの多くは教師であった。女子たちは金銭や成績でその見返りを受け取っていたという。
1998年、少女の強制早婚とセクシャル・ハラスメントが法律で罰せられることになったが、レイプや家庭内暴力については依然政府も警察も無関心である。
1998年、FGMは違法となったが、北部と西部を中心に、44.5%の女性がFGMを受けている。地元の組織がFGMの危険性を訴え、廃止に向けて啓蒙活動を行っている。
<更新:2008年4月>
参照1) ウィキペディア (コートジボワール)
参照2) CIA -the World Factbook (Cote d'Ivoire)
参照3) Wikipedia (Cote d'Ivoire)
参照4) AFROL Gender Profile - Cote d'Ivoire
ガーナ (Gana)
アフリカでは政情・経済とも最も安定した国の一つ。小学校と中学校の授業料は無料になっており、初等教育においての性差別はほとんどない。
リベリアから3万8千人、トーゴから1万4千人が避難生活を送っている。
人身売買 児童売買が増加している。
奴隷制 法律で奴隷制が禁止されているにもかかわらず、ヴォルタ州のエウェ族において、”トロコシ(Trokosi)”という少女奴隷の慣習が続いている。犯罪を犯した家族が幼い少女を寺に奉納する慣わしで、少女達は労働のほか、聖職者の性的奴隷でもあり、現在までのところ、2510人のトロコシが確認されている。1998年法改正でトロコシ制を禁止し、地元のNGOの活動で、2190人の女性が解放され、職業訓練などが行われている。4)
女性の人権 レイプと家庭内暴力は依然多い。低所得者が多く人口密度の高い首都アクラでは、女性の54%が襲われた経験を持つ。しかし法廷に持ち込まれることはほとんどない。
FGMは北部の民族や、周辺国からの移民の間で行われている。1989年、FGMが法律で禁止されて以来、地元のNGOが啓蒙活動を行ってきた。逮捕者も出ており、現在、施術者は9〜15%まで減少している。
<更新:2008年4月>
参照1) ウィキペディア (ガーナ)
参照2) CIA -the World Factbook (Ghana)
参照3) Wikipedia (Ghana)
参照4) AFROL Gender Profile - Ghana
トーゴ(Togo)
世界最貧国の一つ。識字人口61%。
女性の人権 FGM(女性器切除)はポール族など、一部の民族で行われていたが、1998年法律で禁止され、家父長制の慣習と闘いながらも、少しずつ減少に向かっている。 読み書きできる女性は47%。
人身売買 他の西アフリカ諸国同様、児童売買が増加している。
<更新:2008年4月>
参照1) ウィキペディア (トーゴ)
参照2) CIA -the World Factbook (Togo)
参照3) afrol News - Togolese anti-FGM legislation shows results
ベナン (Benin)
農業に依存する世界最貧国の一つ。
人身売買 地方にヴィドメゴン(vidomegon)という伝統的慣習があり、貧困家庭の子供、主に女の子が裕福な家庭に使用人として送られるが、今日ではこれが人身売買の温床になっている。これによりベニンは違法児童売買の主な提供国になっており、女の子たちが使用人、性的奴隷として売られている。 法務省はキャンペーンなどでこのシステムの危険性を訴えている。
児童虐待 農村地帯では奇形児や逆子、双子の片方が魔法使いと信じられ、殺されている。14歳未満の少女たちが誘拐、レイプされ、結婚させられる慣習もある。
女性の人権 男性の識字率が48%であるのに比べ、女性の識字率は23%である。一部の地域では女性への正規教育は行われていない。
FGMは北部で5%〜50%の女性に行われており、違法にはなっていない。NGOと政府はFGMの危険性を訴えている。
参照1) ウィキペディア (ベナン)
参照2) CIA -the World Factbook (Benin)
参照3) AFROL Gender Profile - Benin
マリ (Mali)
砂漠化と飢饉 国土の65%は砂漠、または半砂漠地帯の上、干ばつ被害も重なり、世界最貧国の一つとなっている。 国民の3分の1は貧困ライン以下の生活を余儀なくされており、国民の半数以上は読み書きができない。
モーリタニアから6千人が避難生活を送っている(2006年)。
女性の地位、FGM 一夫多妻制のイスラム社会で、女性の地位は極めて低い。夫が妻を殴ることは大目に見られている。
60%の女性は読み書きができない。憲法では性差別が禁止され、政府も女性の地位向上に力を入れているが、多くが法律を知らないために、社会に根ざした女性差別の中で苦しい生活を強いられている。
1995−6年の調査では、93.7%の女性がFGMを受けていた。政府は意識改革キャンペーン、法的措置の2段階ステップを計画し、2008年までに廃絶を目指している。
人身売買 他の西アフリカ諸国同様、児童売買が増え続けている。
<更新:2008年4月>
参照1) ウィキペディア (マリ)
参照2) Wikipedia (Mali)
参照3) CIA -the World Factbook (Mali)
参照4) AFROL Gender Profile - Mali
参照5) UNICEF - Info by Country (Mali)
参照6) 吉祥寺村立雑学大学通信 - 貧困からの脱出・西アフリカ農村
ニジェール (Niger)
干ばつと砂漠化 度重なる干ばつと砂漠化で、食料不足が続いている世界最貧国の一つであり、人間開発指数では世界最下位の国である。 国民の3分の2は貧困ライン以下の生活を余儀なくされており、識字人口はわずか3割である。
性、民族差別 憲法ではあらゆる差別を禁止しているが、実際は女性、少数民族、障害者は教育、就職、所有権などの面で差別を受けている。
女性の地位 貧困ラインで生活する人々の3分の2は女性であり、読み書きできる女性は全体のわずか1割程度である。妻が夫に殴られるのは日常的とみられるが、多くの女性は法律を知らないために、訴えることはしない。そして虐待され、離婚した女性の唯一の生きる道が売春になっている。
FGMは極西部、極東部のいくつかの民族で行われている。法律でもまだ禁止されていないが、政府はユニセフや地元のNGOと協力して、廃止に向けて活動している。
人身売買 他の西アフリカ諸国同様、児童売買が増え続けている。首都ニアメには近隣諸国から売られた子供たちも多い。
一部の民族で、10〜12歳の少女が将来の夫の家族の家へ送られる慣習があるが、時折、その中で実は売春宿に売られているケースが報告されており、両家族が共謀のもとで行われているという。
<更新:2008年4月>
参照1) ウィキペディア (ニジェール)
参照2) Wikipedia (Niger)
参照3) CIA -the World Factbook (Niger)
参照4) AFROL Gender Profile - Niger
参照5) UNICEF - Info by Country (Niger)
ブルキナファソ(Burkina Faso)
干ばつと砂漠化 人口密度が高く、資源に乏しい世界最貧国の一つで、国民の46%は貧困ライン以下の生活を余儀なくされている。国民の9割は農業に従事しているが、近年の干ばつと砂漠化が貧困にさらなる打撃を与えている。
世界一低い識字率 識字率は22%で、世界で最も低い。学校の授業は有料で、男の子が優先され、女の子の就学率は際めて低い。 セカンダリースクールは年間約65ドルであるが、これはほとんどの家庭で払えない金額である。
女性の人権 国は少女の強制結婚とFGMを禁止したが、国民の大部分は読み書きができないため、キャンペーンが効果を出すのは難しい。しかしながら、女性の就学率は少しずつ増加してきている。
60%以上の女性がFGMを受けており、1996年法律で禁止され、人体への危険性を訴えているものの、減少の兆しはみられない。しかし、少数ながらも逮捕者が出てきており、キャンペーンの効果がみられる。
強制結婚も法律で禁止されたが、特に地方のコミュニティの中で警察に通報することは難しく、未だ逮捕者は出ていない。
人身売買 他の西アフリカ諸国同様、児童売買が増加している。
<更新:2008年4月>
参照1) ウィキペディア (ブルキナファソ)
参照2) Wikipedia (Burkina Faso)
参照3) CIA -the World Factbook (Burkina Faso)
参照4) AFROL Gender Profile - Burkina Faso
参照5) afrol News - Female genital mutilation punished effectively in Burkina Faso
ナイジェリア (Nigeria)
世界有数の石油産油国であるが、失政と汚職で市民の大部分は貧困のままである。70%は貧困ライン以下で生活している。
人身売買 女性や子供の人身売買は活発で大きな市場になっている。ナイジェリア犯罪組織はあらゆる手段で女性を獲得し、ヨーロッパへ売買している。特にオランダ、イタリア、チェコが多いと言われる。また不法入国した両親のために、子供が欧米へ売られているケースもある。児童労働や売春として、カメルーン、ガボン、ベニン、赤道ギニアに売られる子供たちもいる。
政府は児童虐待や育児放棄にあまり関心を示さない。売春も合法である。
女性の人権 家庭内暴力は一夫多妻制の中で日常的で、法的規制もない。レイプ、売春、セクシャル・ハラスメントは深刻な社会問題になっている。
伝統的慣習の中で、女性の土地所有権や遺産相続権は認められていない。未亡人は貧困の上、東部では”監禁”という反人道的な儀式もある。 貧困家庭では金銭と引き換えに、少女が結婚という形で売られている。
FGMは広範囲で行われており、特に南部と東部に多い。地元の調査では女性の90%が経験しているという。政府はFGM廃止運動を支持しているものの、法的規制はまだない。
<更新:2008年4月>
参照1) ウィキペディア (コートジボワール)
参照2) CIA -the World Factbook (Nigeria)
参照3) Wikipedia (Nigeria)
参照4) AFROL Gender Profile - Nigeria
カメルーン (Cameroon)
人身売買 田舎で少女が誘拐され、売春や強制労働として都市へ売られている。
女性の人権 多様な民族と文化が混在するカメルーンではそれぞれの地域の慣習が重視され、あらゆる面で女性の人権が保護されていない。通常女の子は12歳までに強制結婚させられる。女性への暴力も蔓延しているが、家庭内暴力を罰する法律はない。 FGMは極東部、南西州の一部の地域で行われているが、2007年11月、法律で禁止することが決定された。
<更新:2008年4月>
参照1) カメルーン (コートジボワール)
参照2) CIA -the World Factbook (Cameroon)
参照3) Wikipedia (Cameroon)
参照4) AFROL Gender Profile - Cameroon
ジンバブエ (Zimbabwe)
国家崩壊危機 インフレ率は2004年の133%から2005年に585%、2006年に1000%、2007年には100,000%に暴騰した。ジンバブエドルはもはや機能を失い、他国通貨での取引や、物々交換が始まっている。国民の8割が失業状態、貧困ライン以下にあり、国家崩壊の危機にある。 暴動や人権侵害、土地改革、経済崩壊などで、57万人が難民化した(2006年)。国民の3分の1である4百万人が食料支援を必要としている。
HIV/エイズ 国民の4人に1人はHIV/エイズに感染しており、平均寿命は40歳となっている。エイズ孤児率は世界で最も高く、10万人の孤児たちが親なしで家計を支えている。
人身売買 国内の女性・児童の売買はもとより、南アフリカ、中国、エジプト、ザンビアへの女子の売買、また南アフリカの女子を、性的搾取などの目的で受け入れている。またマラウイ、ザンビア、コンゴ民主の女性や子供たちを、南アフリカへ売買する際の中継地にもなっている。
女性の人権 法律で禁止されているにもかかわらず、女性の強制結婚や、未亡人の亡夫の兄弟との強制結婚、家族間論争の償いとして若い女の子を差し出す伝統的慣習などが、まだ行われている。
家庭内暴力は一般的で、死に至るケースも非常に多い。地元の人権団体、Musasa Projectはハラレ市でシェルターを設立し、女性を保護しているが、39%は未成年で、半数以上がHIV/エイズなどの性病に感染しているという。レイプ、近親相姦も増加しているが、法廷に持ち込まれるケースは実際よりずっと少ない。レイプされたという事実が女性に社会的汚名を着せるからである。
麻薬中継地 ヘロインなど南アジアの麻薬の、南アフリカへの密売中継地である。
<更新:2008年4月>
参照1) ウィキペディア (ジンバブエ)
参照2) Wikipedia (Zimbabwe)
参照3) UNICEF - Info by Country (Zimbabwe)
参照4) CIA -the World Factbook (Zimbabwe)
参照5) AFROL Gender Profile - Zimbabwe
マラウイ (Malawi)
世界最貧国の一つ。国民の半数以上が貧困ライン以下の生活を余儀なくされており、国民の4割は読み書きができない。エイズが蔓延しており、平均寿命は43歳と短い。
HIV/エイズ感染者は14%と発表されているが、非公式の筋によると、30%とも言われている。エイズ孤児は百万人以上と言われている。
女子虐待 現地の報告によると、女子の成人儀式の内容は明らかにされていないが、少女達の人体に影響を及ぼす虐待的な行為が広範囲で行われているという。FGMも一部の少数民族の間で行われており、政府もFGMに反対する行動を起こしていない。
また子供はHIV陽性の可能性は少ないと信じられていることから、未成年者が性的虐待を受けやすい。
女性差別 法律では性の平等をうたっているものの、実際は就学、就職、ビジネス、相続などあらゆる面で差別が存在し、女性が世帯主となっている家庭は極貧生活を強いられる。
妻への家庭内暴力は一般的だが、シェルターなどが存在しないこともあり、あまり表に出されることはない。警察も関与しない。レイプも頻繁に報告されている。
<更新:2008年4月>
参照1) ウィキペディア (マラウイ)
参照2) Wikipedia (Malawi)
参照3) UNICEF - Info by Country (Malawi)
参照4) CIA -the World Factbook (Malawi)
参照5) AFROL Gender Profile - Malawi
モザンビーク (Mozambique)
干ばつ、洪水 国民の大部分が農業に従事し、70%が貧困ライン以下の生活を余儀なくされている。干ばつ、洪水の被害を受けやすい。
識字教育 識字人口は男性64%に対し、女性はわずか33%である。家の農家を手伝うため、多くの子供が学校へは行っていない。HIV/エイズ感染者は12%で、47万人の子供がエイズで親を失っている。
<更新:2008年4月>
参照1) ウィキペディア (モザンビーク)
参照2) Wikipedia (Mozambique)
参照3) UNICEF - Info by Country (Mozambique)
参照4) CIA -the World Factbook (Mozambique)
スワジランド (Swaziland)
HIV/エイズ アフリカ最大のエイズ感染国で、国民の4割がHIV/エイズに感染している。エイズ孤児は10万人に達している。
貧富の差 1%の白人富裕族が経済を支配しており、国民の大部分は貧しく、70%の人々が貧困ライン以の生活を余儀なくされている。失業率は40%。干ばつと洪水による食物危機は常に課題である。
<更新:2008年4月>