女性問題
 (Gender Issue)


  発展途上国では、一般的にまだまだ女性の権利が抑圧され、男性の僕のように扱われている国が多い。 教育の機会も少なく識字率が低い国では、女性が生きていくために、望まない若年結婚や、売春を強いられ、人権を剥奪された女性たちが多い。 貧しい地域では売春宿への人身売買も多い。紛争地域ではレイプが横行している。 その結果エイズも広がり、孤児が増え、貧困が拡大している。


性搾取・レイプ・虐待


アフリカ: 紛争地域では女性たちが誘拐され、レイプされる事件が頻発している。組織的なレイプも多い。そして中にはまだ幼い少女も多い。
  紛争地域でなくても、レイプはいたるところで発生している。 例えばケニアのスラムでは、トイレがないために日が暮れてから家を出て、 そこでレイプされてしまうということもよくあるという。

  コンゴ民主は長年の紛争で、ある意味無法地帯となっており、レイプが日常茶飯事的に起きている。 紛争が起これば、まず被害者となるのは女性と子供たちである。
  レイプ、性的・人権的ハラスメント、夫に捨てられる、 見ず知らずの男性に強制的に嫁がせられる、兵士達に誘拐されて妻や奴隷にされる。 多くの女性たちが希望を失い、トラウマに苦しんでいる。 仕事もなく、食べることもできない女性たち、レイプなどにより隠れて生活せざるを得ない女性たちがいる。


  女性の人身売買

参照1)  Nabuur.com


教育/就職


  慣習的に女性は男性に比べて教育を受ける機会に与れず、仕事に就ける機会も少ない。 特にアフリカ・中東のイスラム文化圏やアジアのネパール、ブータンではその差が激しく、 女性の識字率は男性の約1/2である。*1)
  女性が高校まで卒業できるケニアの場合でも、若年層の失業率が50%であり、 高卒レベルの女性ではなかなか仕事が得られない。たとえ優秀でも大学の費用を払える家庭は少ない。 生きていくためにまだ若くして結婚させられるか、売春などにたどり着き、貧困が拡大してしまう。

  文化的にまだまだ女性は子供の世話、畑仕事、食事、洗濯、それ以外のことは許されない地域が多い。 夫に捨てられれば生きていく術もない。
  教育も手に職もなく、1日1ドルも稼げない女性たち、 暴力やレイプでトラウマから抜け出せない女性たち、レイプで病気やエイズをうつされ、 生きる希望を失っている女性たちが大勢いる。

  もし子供がいれば、彼女たちに残された唯一の生きる手段が売春である。 望まない妊娠、出産、モラルは低下し、そして先進国にスポンサーを求めなければ生きていけない子供たちが増え続ける一方である。 孤児をこれ以上増やさないためにも、エイズの拡大を防ぐためにも、女性たちが人権を取り戻し、教育、職業訓練を受け、 自立して生きていける社会に導くことこそ、貧困の根絶に寄与すると思われる。


参照1)  CIA-the World FactBook
参照2)  Nabuur.com


FGM(女子割礼、女性器切除・縫合)


  FGM(Female genital mutilation、またはFGC=Female genital cutting)は女子割礼として、古くからアフリカを中心に行われてきた慣習であるが、 現在でもアフリカ中部28カ国(地図参照)、中東、南米、インドの一部の民族、またインドネシアのイスラム系民族の間で行われている。

FGM分布図 by afrol News
© afrol News  

  女性器の全部または一部を切除、あるいは縫合する施術法であるが、 麻酔が使われないのはもちろんのこと、ガラスや石の破片が使われ、非常に不衛生で、ときに命を落とすこともある。 回復までの激痛だけでなく、感染症、排尿通、性交時の激痛、性交恐怖症など、後遺症も多く、身体的にも・精神的にも女性に生涯に渡ってダメージを与える。

  国際社会が「FGMは女児虐待である」との非難に対し、 当初アフリカ国内ではかえって植民地支配へ対抗心を強くし、FGM廃止案に反感を抱いていた。 またFGMが結婚の条件と結びついていたために、個人個人で止めてもコミュニティ内で孤立して結婚が不利になるため 、コミュニティ全員が一斉に止めない限り、FGMの廃絶は難しいことがわかってきた。

  その後、活動家たちは現地のコミュニティの中に入って一緒に活動を始めた。 読み書きのできる女性を中心に、FGMが人体に及ぼす危険性、後遺症などを説明し、 現地の女性たちが廃止へ向けて立ち上がった。その発端となったのがセネガルであり、村単位で廃止を宣言する動きが始まった。

  現在までのところ、法律でFGMを禁止している国は、ギニア、ガーナ(1989年)、ジブチ(1995年)、 ブルキナファソ(1996年)、中央アフリカ(1996年)、コートジボワール(1998年)、 タンザニア(1998年)、トーゴ(1998年)、セネガル(1999年)、エリトリア(2007年)である。
  しかし各国で罰金や禁固刑を定めているものの、実際に逮捕され、刑が実行されたという証拠はほなく、アンダーグラウンドで慣習が続けられている。


参照1)  ウィキペディア/女性器切除
参照2)  Wikipedia/Female genital cutting
参照3)  ユニセフ/世界の子どもたち/セネガル
参照4)  AllAfrica.com

<参考記事>
国連:女性器切除防止に進展(2008年2月12日)
性器切除に苦しむアフリカの人々と連帯する日本人女性 (2006年4月12日)