コラム、ニュース
マイクロクレジット (Microcredit)
(2007年1月8日)
寄付よりも効果的な融資システム
マイクロクレジットとは、貧困層(主に女性)の経済的自立を支援することを目的に、1970年代後半から導入された、極少額融資システムです。昨年ノーベル平和賞を受賞したバングラデシュのグラミン銀行に始まり、今では世界中に広がりつつあります。
主に三つのタイプに別れ、有担保または保証人を要する個人融資、連帯責任を負わせる無担保グループ融資(グラミン銀行の例)、コミュニティ自体に金融システムを運営させる村落金融(FINCAに代表される例)のタイプがあります。
当初、大手の開発機関はこのマイクロクレジットの成功を信じていませんでしたが、急速に拡大するマイクロクレジット市場に、今では大手の金融機関も新たな可能性として目を向け始めています。
高い返済率の理由
どのタイプにおいても、借り手のほとんどは女性であり、返済率は驚異的な高さを維持しています。
無担保グループ融資を例にとると、無担保の代替策として、地域の人々がグループを作り、各メンバーは返済に対して団体責任を追います。この連帯保証システムを導入することで、100%に近い高い返済率を維持しています。地元の人たちでお互いが顔見知りであること、誰が真面目に働き信頼できるかもわかっているので、無責任な人とは誰も組みたがらず、その結果返済率が高くなっているのです。
金利は決して低くはありませんが、多くの場合返済期間が1週間から一ヶ月と短いので、大きな負担にはなりません。お金を借りて材料を買い、それで工芸品を作って売る、または田舎の作物を卸値で買って、マーケットに持っていってマージンを乗せて売る、売れたら返済と貯蓄にまわし、また借りる。これを続けることで、多くの人々が貧困から脱しています。
女性の地位も向上
借り手の9割以上は女性であるところが多く、女性に限定している貸付機関も少なくありません。男性に比べて女性は子供の養育に責任を持ち、家族のためにお金を使う傾向にあり、また真面目で返済率も極めて高いと言われています。
子供たちの食費や教育費を直接支援するためには、多額の資金を永遠に寄付し続ける必要があり、また恩恵を受けるのは子供たちだけですが、女性に融資すれば、彼女たちが家族の食費や子供たちの教育費を稼ぐので、子供も教育を受けられ、また途上国の女性の地位向上にもつながります。この理由で一方的な援助よりも効果的だと言われ始めており、大手を含む慈善団体がマイクロクレジットを取り入れ始め、国連も2005年をマイクロクレジット年と定めるなど、新しい支援の形として大きな期待を集めています。
返済が困難な人々への対策
障害をもつ人々、戦争で全てを失ってしまった人々などは、マイクロクレジットでさえ手が届きません。また収入を得るまでに一定の訓練が必要な場合も、一時的な資金が必要です。こうした人々を対象に、職業訓練のための補助金と訓練後の貸付を組み合わせている慈善団体もあります。
HIV/エイズ感染者もまた、返済率が低い借り手です。 しかし貸付機関たちはこうした感染者たちに、マイクロクレジットと同時に、HIV/エイズ教育プログラムと健康保険、葬儀保健も同時に提供するという、新たな試みを始めています。マイクロクレジットは経済的な自立支援だけでなく、エイズの感染予防にも貢献する強力な手段として、期待が高まっています。*5)
さっそく私も貸したい!という方には
今ではインターネットのおかげで、誰もがマイクロクレジットに参加することができます。
キバ(Kiva.org)は、途上国の借り手と、世界中の個人の貸し手を結びつける、世界初のウェブサイトです。わずか25ドルから参加でき、どの国の誰に貸すか、自分で選ぶことができます。詳しくはこちら(日本語説明)をどうぞ。
オンラインでマイクロクレジットを学べるサイト
マイクロファイナンスの推進を図る国際協力団体、プラネット・ファイナンス・ジャパンが、オンラインで学べるプラネットE―大学講座にて、マイクロファイナンス基礎編6コースを無料で配給しています。マイクロファイナンスの専門家を目指す方、知識を深めたい方にぜひおすすめいたします。